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「相続未経験」の女性必見!相続の「困ったこと」を銀行員が解説【中編】

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将来、あなたに降りかかるかもしれない相続の問題。
全3回に分けてお届けしている本コラム。

前編【相続の困ったこと「預金凍結」】

相続での預金凍結で困らないように前もってできることがあります。
中編では、預金凍結に備えた3つの対策を紹介します。

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【対策1】銀行と口座は適度に分散し、整理しておく

まず言えるのは「銀行が一つだけだと、凍結されたらお金が使えなくなる」ことです。
かと言って取引銀行が多過ぎるのも別の問題なので、適度に分散するのが良いでしょう。
メイン銀行・サブメイン・第三位くらいがベストではないかと、個人的には考えます。

また家族名義預金などに分散しておくのも有効です。
たとえば教育資金として、子供や孫などの名義で口座を作るのはよくあることです。

結果的に教育資金として使わなかったとしても、故人名義でなければ凍結されないので、とりあえずのお金には困らないでしょう。

ただしこの場合「借名預金」には注意しなければいけません。

借名預金とはその文字通り誰かの名義を借りて作った預金のことで「名義預金」とも呼ばれます。
税金や相続逃れをするために、本人以外の名義を使い借名預金をしたことが判明すると、本人名義の財産であると見なされて、課税対象になったり、相続では個人名義財産として相続税の対象に加えられたりする可能性があります。

そしてどこの銀行に、誰名義で、いくらあるのか?を整理しておくことが重要です。
銀行員として相続の対応をしてきた中で、実は自分や配偶者の預金を整理できていない人が意外と多いのです。
本人が自分で把握できていなければ、その人が死亡したときに家族が調べて整理するのはもっと大変になります。
借名預金や資産隠しは論外ですが、折を見て預金は整理しておくようにしましょう。

生前からFPなどお金のプロとつながりを持っている人は、常に資産をアップデートしているとも言えるので、両親にFPへの相談をすすめるのもひとつの対策です。

【対策2】必要な引き出しをしてから、死亡したと申し出る

事前に必要な出金をしていれば、そのあと銀行に死亡したことを伝え預金凍結になっても当面は困らないでしょう。
ただし数千万円、億単位の現金を持ち続けるのはリスクがあります。

また窓口で一度に多額な出金をする場合には、家族(例・父の代わりに母が)が来店しても、銀行では本人に出金していいか?確認の電話をするケースがあります。

たとえば実は、本人が死にそうで会話もできない状態になっているなど、行為能力が無い場合には出金を拒まれることもあります。
ましてや、実はすでに亡くなっていたことが判明すると、トラブルの原因にもなりかねないので注意が必要です。
ATMで出金することも考えられますが、現在多くの銀行では一日の出金に上限を設定している場合があります。
かといって、数日に分けて出金したとしても、銀行では口座の動きをチェックしており、(本来はカードの盗難などをチェックする目的)連日100万円など限度いっぱいまで続けて出金
していると、銀行から問い合わせがくる可能性もあります。

銀行員としての経験上、実はこういったケース
(お父さんの病状が持ちそうもないので、家族があわててお金を引き出すなど)
は結構多いのです。
言ってみれば、みんな考えることは同じということです。

預金者本人が死亡していることを隠して家族が出金したケースでも、悪質な場合は出金を取り消して返還を求められることもありますので、注意が必要です。

なお、銀行では預金者の死亡をいろいろなソースから把握することが可能です。
悪用を防ぐため、その情報ソースは明かせませんが、たとえば地方の金融機関では新聞の死亡記事などを毎日チェックしているところもあります。

ここまでの説明で誤解を生まないよう申し上げますが、原則として本人でなければ動かすことができません
まして死亡、相続にからみ自分たちの利益だけを優先して銀行や他人を欺くような行為は絶対にしてはいけません。

相続において親族間でもめることはよくあることですが、もめるだけなら自分たち内輪の問題で済みます。

しかし銀行や社会を欺くような行為は、最悪の場合には詐欺など犯罪に問われる可能性すらありますので、この点は充分に注意してください。

【対策3】少額でも、すぐに受け取れる保険を契約しておく

3つ目の対策として、少額でもいいので、手続きすればすぐに受け取れる保険を契約しておくのもおすすめです。
たとえば死亡保険金が1~2百万円といった程度なら、毎月の掛け金もそれほど負担にはなりませんし、最近は高齢者の人でも加入できる保険もあります。

ポイントは、その死亡保険金を当面の一時的資金として確保するということです。

もちろん死亡保険金も相続財産に含まれますが、葬儀や当面の生活費など真に必要な使いみちであれば親族も認めてくれるでしょう。また最終的な相続の話し合いのとき、仮に死亡保険金が問題になったとしても、あとで財産分配するときに調整することもできます。
生命保険をおすすめする最大の点は、相続ができない状態であっても、死亡保険金の受取人が請求すれば自分(受取人)の口座へ速やかに入金してもらえるということです。
また小口で毎月の掛金も少なければ、夫婦で相互に保険をかけるのもおすすめで、これは私が相続への備えとして、高齢のお客様へ実際にアドバイスしているものです。

対策1.2で説明した通り、預金を引き出すにはスムーズに行かないことが多いので、少額の生命保険への加入は、意外と知られていない手段のひとつと言えます。

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