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医療保険はいらない?老後のために資産運用をする場合の考え方

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老後のために資産運用を始めたいとご相談にいらっしゃるお客様に、
弊社では医療保険も一緒に考えることをおすすめしています。

私たちはそれがお客様の為になるという根拠をもっているからです。
でも、
「運用のための出費なら増えるからまだしも、医療保険の出費は掛け捨てでしょ?もったいない」
「病気やケガをすることがなかったら保険料はムダになるし、それなら運用にまわすか、動かせるお金として預貯金で置いておくほうがいい気がする」
「もし病気やケガをしても健康保険があるんだし、医療保険にわざわざお金をかけなくてもいいんじゃないの?」

そんな風に疑問に思われても不思議じゃありません。

だからご相談の際は、資産運用と医療保険を一緒に考えることを私たちがすすめる理由を、お客様にきちんと説明しています。

その内容をこのコラムでもお伝えしたいと思います。

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健康保険はどこまで頼りになる?

日本は国民皆保険制度のもと、年齢や働き方に応じて公的医療保険に加入しています。
公的医療保険は、医療費の自己負担が一部で済むなど、病気やケガをしたときに頼れる保険です。

ただ、全面的に頼りにしていいかと言うと、答えは「NO(ノー)」です。
その理由は次のとおりです。

高額な医療費負担を軽くする「高額療養費制度」

万が一のときは公的医療保険があると考えているなら、「高額療養費制度」という、高額な医療費の負担を軽減してくれる制度があることはご存知かと思います。

制度の存在は知っていても、どういった内容の制度なのか、具体的なことはわからないという方もいるかと思いますので、まずは制度の概要を説明します。

高額療養費制度は、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう、月ごとの自己負担限度額を超える部分が保障される制度です。

自己負担限度額は、年齢や収入に応じて設定されます。

たとえば、70歳未満・年収約370万円~約770万円の場合。
医療費の総額が100万円なら、自己負担額は30万円(3割負担)。
30万円のうち、8万7,430円が自己負担限度額であるので、残りの21万2,570円が高額療養費として支給されます。

参照:厚生労働省ホームページ

「高額療養費制度」で得られる安心感は現役時代まで

高額療養費制度は、自己負担限度額を超える部分が保障される制度なので、
裏を返せば、自己負担限度額までは払わなければならないということです。

自己負担限度額まで費用負担をすることについては、現役時代とリタイアメントされた後とでは、ずいぶんと感じ方が変わるものです。

たくさんのお客様のご相談を見てきて思うのは、
医療費を自己負担の限度額まで支払うことに負担を感じないのは、現役時代に限られるということ。
リタイア後のセカンドライフにおいて、現役時代のような収入はなく、
年齢を重ねるにつれて手元の資金が減少していく中にあっては、生活費以外の支出をすることが大変な負担となります。
医療費に限らず、電化製品など耐久消費財の費用負担もばかにならないもの。

だから、入院などの不測の出費(いつ、いくら必要なのかわからないもの)には大きな不安を感じるとお聞きします。

そして、既にセカンドライフに入っている方々は、手元の資金で医療費をまかなうことよりも、加入している保険で医療費が補てんされることの安心感
を評価されています。

健康保険適用外となる費用もある

そもそも公的医療保険の適用にならない費用項目も、個室や少人数部屋を希望した際の
差額ベッド代、食事代、衣類・日用品代、家族の交通費など広範囲にわたります。

たとえば差額ベッド代なら、1日あたり平均してこれだけの金額を負担することになります。

1人部屋:7,097円       2人部屋:3,099円    3人部屋:2,853円         4人部屋:2,514円
平 均:6,258円
※出典:厚生労働省 令和元年9月「第422回中央社会保険医療協議会・主な選定療養に係る報告状況」

先進医療の技術料も、全額自己負担になります。
先進医療の技術料は具体的にどのくらいかかるかというと、主なところでこのくらいかかります。

【がんの治療に使われる陽子線治療、重粒子線治療】

陽子線治療:約271万円   重粒子線治療:約312万円
※出典:厚生労働省「第93回先進医療会議資料令和2年度実績報告」

「マネープランを守る」ための医療保険という考え方

私たちがマネープランを案内する際に、医療保険も案内させていただくのは、
次の2つの理由からです。

資産運用の資金を目的外支出しないため

資産形成や資産運用を行ううえで、一番避けたいものが、目的外の支出です。

楽しみのためや将来の生活のために、当初の目的通りご資金を取り崩すなら問題ないですが、
病気になるなど本来の目的とは違う理由で資金の取り崩しを行うことは避けたいもの。

セミナーでも伝えていますが、複利運用でお金に働いてもらうことで、
10年を経過した時期から、運用の条件の差がけんちょに表れます。

【関連記事】マネーセミナーで何が学べる?

そのような大切な時期に、病気などの不測の出費で資金の取り崩しが行われ、
結果として、運用の再スタートを切ることを強いられることのデメリットは、

治療費の負担を行う以上に不利益となる
と私たちは考えます。

お手元資金を最大限活用できるようにするため

手元資金で病気などに備えるとなると、具体的にいくら程度の資金を確保していればいいのか
大きく悩むことと思います。
悩む原因は、治療費が特定できないという金銭的な問題だけではありません。

むしろ、心理的な要因が大きく影響していることを、私たちは今までのコンサルティングの
現場から学んできました。
高額療養費制度の説明でもふれた通り、現役時代とセカンドライフとでは、医療費に対して
感じる負担感の大きさは違います。
加齢とともに健康に不安を感じるようになると、不測の出費のためにとっておく
貯蓄額はどんどん大きくなる傾向があります

多くの方は、いくら確保しておけばいいかわからなくなるという心情を吐露されます。

掛け捨てがイヤならこんな方法も

医療保険はマネープランを守るもの。
それでも、どうしても保険料が掛け捨てになってしまうのが気になる。
そういう方もいらっしゃるかと思いますので、「こんな方法もあるよ」ということを紹介します。

貯蓄型医療保険

万一の時に備えられる保障機能と、支払った保険料の一部を積み立てる貯蓄機能を、
一緒に持つことができる貯蓄型の医療保険。
一定年数が経過するごとにお金が受け取れる「お祝い金タイプ」や、
一定の年齢まで保険料を支払い続けるとこれまで支払った保険料が戻ってくる
「リターンタイプ」があります。

お祝い金タイプなら一定年数内に入院給付金等を受け取っている場合は給付されない、
リターンタイプなら入院給付金等の支払い分は給付から差し引かれるといった制約や、
掛け捨てタイプに比べて保険料が高いといったデメリットはありますが、
それでも、掛け捨てタイプに近い保障が得られて、かつ支払った保険料の一部
もしくは全額が返ってくることにお得感を感じる人も多
のではないでしょうか。

三大疾病保障の変額保険

最近になって登場した、こんな“変わり種”も。
円建ての変額保険に三大疾病保障がプラスされています。

変額保険とは、資産を株式や債券を中心に運用し、運用の実績によって保険金や解約返戻金が増減する保険のこと。

それに三大疾病の保障を併せもつこの保険は、三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)で所定の支払事由に該当した場合に保険金が支払われます。

掛け捨ては嫌だけれど、がん家系かもしれないし、がんの保障がないのも
それはそれで不安だ」というような人のジレンマも解消できる保険
です。

まとめ

病気による不測の出費のためにおいておく金額を定めること自体が非常に難しいため、現時点でその分の金額を現金で置いておくという前提のもと老後資金をシミュレーションするのは困難です。

また、医療保険に求める役割は、マネープランの進捗状況などによって変わってくるため、
私たちは医療保険もご案内するスタイルを採用しています。
医療保険に未加入の方はもちろん、既に加入されている方も、加入済みの医療保険が資産形成
資産運用の観点からもお客様に適したものとなっているか、診断させていただいています。

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