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女性の「おひとりさま老後」。施設に入るなら考えておきたいこと

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女性のライフスタイルはさまざまですが、老後の生活資金のご相談を受けるFP会社として弊社では、「女性の老後は“おひとりさま”が基本」とお伝えしています。

なぜなら、女性は男性よりも長生きする人が多いから。
100歳以上の方の約8割が女性であり、
90歳以上を迎える女性は約2人に1人(男性は約4人に1人)、
95歳以上を迎える女性は約4人に1人(男性は約10人に1人)、
(厚生労働省「平成30年 簡易生命表の概況」)
という状況なので、現役時代のライフスタイルに関係なく、「老後はおひとりさま」な女性が増えてくるでしょう。

「老後はおひとりさま」と考えたとき気になるのが、自分が介護状態になったときのこと。
そして、そうなったときに残りの人生をどこでどう過ごすのかということ。

私自身が現在独身で、自宅でひとり自由気ままに暮らすのが一番と思ったりもしますが、身体の自由がきかなくなるとそれも難しいかもしれません。
気持ち的にもひとりで暮らすのは心細いかも…なんて思ったりもします。
それなら、老後の生活資金の準備も、老人ホームに入ることも視野に入れて計画できたらより安心だよね、と思うのですが30代半ばの今、まだ実行には移せていません。

弊社のお客様の場合、早くは40代から、多くは60代に入ってから、老人ホームに入ることも視野に入れたマネープラン、資産づくりを計画、実行されています。
このコラムでは、その内のお1人、60代のおひとりさま女性のご相談から得た“前向きな気づき”を共有させていただくと共に、施設入居を考えたときにどんな場所があるのか、どのくらいの資金が必要でどうやって準備をしていくのかなどについて話をしています。

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60代おひとりさま女性のご相談

ひとりで生活できるマネープランを希望されて相談に来られた60代のおひとりさま女性。
「ゆくゆくは、ここにお世話になりたい」と、有料老人ホームの具体的なお話もしてくださいました。

N様が入居を希望されている有料老人ホームは、入居一時金が一般居室だと3000万円~1億円、介護居室だと2000万円、そこにプラスして毎月の費用がかかる、いわゆる「高級有料老人ホーム」でした。

ホームページを見ると、同一建物内にあるクリニックや開放的なロビーラウンジ、毎日の健康管理を考えた食事が食べられるダイニング、映画鑑賞やカラオケを楽しめるオーディオルームなどの充実した設備、そして健康相談や交流イベントなどの手厚いサービスから、安心で快適な生活がイメージできました。

私も触発されて色々と調べていたら、N様が希望された施設のような高級ホテルやリゾートホテルを思わせる高齢者向け施設ばかりを写真で紹介している雑誌を見つけたので紹介したいと思います。

『老後に暮らしたい幸せな住まい』主婦と生活社
見ているだけでもワクワクして、「老後はこんなところでゆっくり過ごさたらいいなぁ~」と思わずにはいられませんでした。
「老人ホーム」対して抱いているイメージが一新されると思います。

高齢者向け施設の種類と特徴

「将来は老人ホームに」と言っても、どんな場所をイメージするかは人それぞれ。
たとえば、先にあげた有料老人ホームと、よく聞く特養(特別養護老人ホーム)とでは、入居条件や受けられるサービス内容が異なります。

有料老人ホームと特別養護老人ホームの比較

下の図は、有料老人ホームと特別養護老人ホームのサービス・費用の比較一覧です。

介護付有料老人ホーム特別養護老人ホーム(特養)
食事、清掃、身体介護、リハビリなど、施設スタッフによる幅広いサービスが受けられる施設重度の介護を必要とする方が少ない費用負担で長期入居できる公的な介護施設
運営母体主に民間企業地方公共団体、社会福祉法人
費用中~高
入居対象者自立・要支援・要介護要介護3以上
待機者
介護が必要になってからの住み替えそのまま居住可能なし(要介護3以上しか入れない)
居室タイプ原則個室多床室(相部屋)が多い

有料老人ホーム、特別養護老人ホーム以外にも次のような施設があります。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

バリアフリー仕様で、見守りサービス(日中の安否確認)と生活相談サービスが付いた高齢者のための賃貸住宅。
食事サービス(オプション)もほとんどの施設で提供されています。
介護サービスは外部の業者を利用。

シニア向け分譲マンション

民間事業者が販売・運営する分譲住宅。
分譲住宅のため初期費用は高額ですが、物件のリフォームや相続・売却も可能。
サ高住と違い、バリアフリー面など設備の基準や届け出の義務はありませんが、様々な生活支援サービスが整っています。

介護老人保険施設

病状が安定した人が、在宅復帰を目指すためのリハビリを中心とした医療ケア・生活サービスを受ける施設。
原則は3ヵ月程度の入所であり、3ヵ月ごとに退去または入所継続の判定が実施されます。

グループホーム

認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら、身体介護、機能訓練などが受けられる施設。
入居者は「ユニット」と呼ばれる5人から9人までのグループで生活を共にします。

経費老人ホーム(ケアハウス)

主に自立あるいは要支援の高齢者が比較的少ない費用負担で利用できる福祉施設。
身寄りのいない高齢者、何らかの事情で家族からの支援や介護が受けられない独居の高齢者を対象として受け入れをおこなっています。

いつから入居を検討?

弊社のお客様で見ると、早くて40代、ボリュームゾーンは60代になってから検討をされている老人ホームへの入居。
おひとりさま女性の場合は、自分の足で施設見学をして判断ができるよう、心身ともに自立し健康的に生活できるうちの行動が求められます。
具体的には何歳くらいを念頭に置いておくと良いでしょうか?

健康的に生活できるのは何歳まで?

「心身ともに自立し健康的に生活できるうち」というのが何歳くらいまでを見ておけば良いのかについては、「健康寿命」と呼ばれる指標が参考になります。

健康寿命はWHO(世界保健機関)が2000年に提唱したものであり、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。

そして、現在公表されている健康寿命は、女性が74.79年。
(※参照:内閣府「平成30年版高齢社会白書」

ですからおひとりさま女性の場合、遅くとも75歳までには施設見学などを済ませて入居をするか、入居する施設の目星をつけておくと良いのではないでしょうか。

老人ホームは何歳から入居できる?

老人ホームの入居が可能な年齢は一般的に65歳以上とされていますが、介護サービスの提供がない施設では60歳未満でも入居できることがあります。
また、特定疾病が認められ、かつ介護認定を受けている方であれば、40代からでも入居できます。

各施設によって条件として定めている入居可能年齢が異なるため(たとえば同じ有料老人ホームの一般居室でも、A施設は65歳以上、B施設は70歳以上といった具合に異なる)、
希望する施設があれば、施設の公式サイトを見るなどして確認をしましょう。

実際入居している年齢は「85~89歳」が最も多いようです(※参照:野村総合研究所「高齢者向け住まい及び住まい事業者の運営実態に関する調査研究報告書」平成29年3月)。
また、85歳以上の入居者の割合は、介護付有料老人ホームでは66.7%、サービス付き高齢者向け住宅(非特定施設)では53.2%と施設によって差があります。

老人ホームは「介護」から「セカンドライフを楽しむ」場へ

先にご紹介したお客様のように、老人ホームを介護目的だけでなく、セカンドライフを楽しむ場所として選ぶ人も最近では増えているようです。

介護情報サイト『LIFULL介護』が行ったアンケート調査では、26%の人が介護を必要としないで有料老人ホームに入居しているという結果に。

高級老人ホームを筆頭に、イベントを開催したり、ジムやオーディオルームなどを完備したりと、入居者が楽しくいきいきと過ごせる空間づくりをウリにしている施設があることで、シニアライフの選択肢も広がったのではないでしょうか。
ぼんやりとしている施設選びや入居時期の検討も、自分はどんなシニアライフを送りたいか、そこを思い描いてから逆算して考えると決めやすいかもしれません。

資金はどうやって準備する?

自分が思い描いているセカンドライフの過ごし方を叶えるには、どのくらいのお金が必要になるのでしょうか
特に自立した状態から施設への入居を希望する方は、早めの準備が望まれます。

老後の公的年金額

まずはセカンドライフの収入の柱となる公的年金がいくらになるのか、知っておくことが大切です。

厚生労働省「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、
フリーランス・自営業(国民年金)の平均年金月額は5万6,049円
会社員女性(国民年金+厚生年金)の平均年金月額は10万8,813円
遺族年金受給者の平均年金月額は8万3,285円です。

紹介した金額は目安として参考程度に、自分の年金受給額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。
ねんきんネットなら、将来の年金額の目安を、今後の働き方や年金受給の仕方(繰り上げ・繰り下げ)など、さまざまに条件を変えて試算可能です。
また、弊社のコンサルティングでも、公的年金額の試算をさせていただくことがございます。

ホテルのような老人ホームの費用例

お客様が希望されていた「ホテルのような老人ホーム」は多くの人が憧れるところかと思いますが、一時金だけでも多額の費用がかかります。
どのくらいかかるものなのか、たとえばお客様が希望されていた施設の場合、

<自立型>
入居一時金:3,390万円~10,200万円
生活・介護支援サービス一時金:440万円

<介護型>
入居一時金:2,000万円
生活・介護支援サービス一時金:440万円

さらにこの施設の場合、一時金にプラスして、毎月必要な費用として管理費や食費、介護が必要な場合は介護費の支払いが生じます。
総額は非常に高額となるため、マネープランに組み込んで計画的に準備をしていかないと用意するのは難しいでしょう。

まとめ

介護状態になったときのことを心配している方は多いですが、具体的にイメージができている方や、対策を考えている方は少ないものです。
心配はあってもそのままにしてしまう背景には、介護という言葉がもつマイナスなイメージや、何から手をつけたらいいかわからないといったことがあるのかもしれません。
まずは、人生の最期を考えたときに、その日を迎えるまで、どんな場所でどんな風に暮らしていたいかイメージすること、そしてマネープランをプロに相談してみることから始めてみませんか。

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