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女性とローンとライフサイクル ~借りたお金との付き合い方〜

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短いようで長い人生、そこでおこる様々なことがライフサイクルです。
そして人生と同じように、やはり長い付き合いになる住宅ローンも、ライフサイクルと密接な関係があります。

そこで今回はローンとライフサイクルの関係、つまり「借りたお金との付き合い方」について解説していきます。

特に女性ならではのポイントもお話ししますので、自宅を手に入れようと検討している人、そして住宅ローンを返済中の人はぜひ参考にしてください。

ライフサイクル1.転職

最初に説明するライフサイクルは転職です。

転職についてはこちらの記事『女性が住宅ローンを組むとき、審査のポイントになるのは?』でも触れましたが、もう少し深掘りしてみましょう。

<女性の住宅ローン・転職のポイント>

  1. 女性は男性より前向き~転職のイメージ
  2. 空白期間に要注意~なるべくブランクを作らない 
  3. 勤続年数は3年以上が基本 

転職のポイント1.女性は男性より前向き~転職のイメージ

基本的なイメージとして、女性の転職は前向き・ポジティブと銀行は考えます。
女性は良い意味で「身軽」「切り替えや決断が早い」といったように、ローン審査で女性の転職はそれほどマイナスには作用しないのです。

この点、転職に対しては男性のほうがネガティブに受け取られる傾向があります。

とはいえ、これを男女差別と考えるかは微妙ですが、女性にとって有利ならそのままにしてもいいのではないでしょうか(笑)
ただし、転職でも注意する点はあります。

転職のポイント2.空白期間に要注意~なるべくブランクを作らない

転職をする場合には、なるべくブランクを作らないように注意が必要です。
たとえば、住宅ローンの申込みでは「転職歴がある場合はこちらに」などと、2つから3つ程度の職業履歴を記入する欄があります。

例)現在までの職業(勤務先)と、勤務された期間をご記入ください

  1. 現在   :勤務先名(   ) 勤続期間(  年  月~現在)
  2. 前勤務先 :勤務先名(   ) 勤続期間(  年  月~現在)
  3. 前々勤務先:勤務先名(   ) 勤続期間(  年  月~現在)

このように今までの勤務履歴を見たとき、退職して次の会社に入社するまでに時間的な空白期間、つまりブランクがあるとがあるとマイナスになることがあります。

まず転職までに空白がなければ、これはすぐ別の会社に転職できたとして、ステップアップ、ヘッドハンティングとも考えられ、むしろ好印象になります。
また数週間から半年、長くても1年未満程度なら「とりあえず一休みの期間」として、こちらもそれほどマイナスにはなりません。

しかし空白期間が1年を超えると、その期間何をしていたのか?が重要になるのです。

職業の履歴で辞めた理由を記入することはまずありません。
転職まで1年以上の空白期間があると、労働意欲がないのでは?などと勘ぐられてしまう恐れもあります。

また空白期間が長かったのが

  • 自分探しの旅に出ていた
  • 家事手伝いをしていた

などといった理由でも、それ自体は決して悪いことではありません。

しかし審査においては間違いなくマイナスになりますので、住宅ローンを検討しているなら転職の空白期間はなるべく作らないという点は覚えておいてください。

女性とローンとライフサイクル ~借りたお金との付き合い方〜
女性とローンとライフサイクル ~借りたお金との付き合い方〜

転職のポイント3.勤続年数は3年以上が基本

ブランクが1年を超えるか超えないか?で違いがあると説明しましたが、これは勤続年数にも共通するポイントです。
現在、住宅ローンの説明で勤続年数を明記しない(年収も)銀行と、はっきり何年以上と条件になっている銀行に分かれます。

ご利用いただける方      

正社員として1年以上の安定した収入があることを公的書類にて証明できる方。

東京スター銀行/スターセレクト住宅ローン(一部を抜粋)

東京スター銀行|スターセレクト住宅ローン

ご利用いただける方
以下のすべての条件を満たす個人のお客さま
・年齢が借入時に18歳以上70歳の誕生日まで、完済時に80歳の誕生日までのお客さま
・団体信用生命保険にご加入が認められるお客さま(保険料は当行が負担いたします)
・日本国籍のお客さま、または永住許可等を受けている外国人のお客さま
三菱UFJ銀行/住宅ローン説明書(一部を抜粋)

三菱UFJ銀行|住宅ローン

これはそれぞれ銀行の方針やローンの内容で違いが生まれるのですが、明記されていなくても、勤続年数を問わないわけではなく、一般的には勤続3年以上が基本です。

「石の上にも3年」ではありませんが、例えば歩合給がある人の年収は3年平均で計算するなど、銀行では勤続3年以上を大前提に考えるのです。

ただ、ここまで説明した通り働き方やライフスタイルの変化で転職はごく普通にあることなので、現在銀行の説明では「勤続1年以上」が目立ちますが、勤続年数は1年あれば大丈夫ではなく、最低限の条件をクリアしているだけと考えたほうがいいでしょう。

(なお歩合給については後半で説明します)

豆知識1.勤続年数や年収の「数え方」

ところで銀行の「数え方」には特徴があります。
お金を融資する保守的な考え方で、小数点未満(0.1など)はバッサリと切り捨てます。

ですから転職してから1か月でも11か月目でも同じ1年未満、いっぽう12か月あれば1年と見てもらえるのです。
とくにローン審査では、1〜2ヶ月というわずかな違いが大きな差となる場合があります。

また「年収」とは昨年の1年分を指し、所得証明書や源泉徴収票などで確認をします。
したがって、ローンを申し込んだ時点で上記の書類がないと年収を証明できないことになり、マイナスに作用します。

ところが、ここでも数か月で差が出る場合があるのです。
というのも、たとえば源泉徴収が出せる人と、源泉が無い人では前者のほうが有利です。

  1. 昨年の9月に転職し、翌年3月の今は勤続6か月だが源泉徴収票がある
  2. 今年の1月から転職して9月に申込むので勤続9か月だが源泉徴収は無い

この場合はエビデンスのある前者が有利で、それだけ書類の力は大きいのです。

豆知識2.勤続1年未満の年収はどう計算する?

年収を考える場合に、勤続1年以上なら証明書類の数字をそのまま年収と見ます。
いっぽう1年未満なら、月平均にならして計算をします。

たとえば源泉徴収票で「昨年の勤続は10か月で年収350万円」のケースでは以下のように考えます。

  1. 源泉徴収の年収が350万円で10か月勤務なので、1ヶ月平均は10分の1=35万円
  2. 1か月平均35万円×12=年収は420万円

また銀行によっては、あくまで計算上の数値なので保守的に八掛け(80%程度に押さえて見る)して、420万円×80%=336万円と考える場合もあります。

このように一定の条件で低めに見ることを「負荷をかける」「ストレスを加える」と呼び、銀行の融資審査ではよく用いられます。

豆知識3.歩合給と固定給の違い

歩合給(成果報酬、インセンティブ)がある人は年収で審査のハードルが上がります。
これは、歩合などが良くも悪くも本人次第、努力や運もあるからです。

ですからローンの返済能力を考えるとき、歩合給がある人では前年の年収だけで判断できないのです。

そのため歩合給は3年分の平均を見るのが一般的です。 もしも歩合給がある職場に転職してからまだ3年未満では、ハードルが2つ連続することになり、審査はさらにむずかしくなります。

また、歩合や成果報酬の度合いが高い業種、たとえば金融商品や保険などのセールスやハウスメーカーの営業マンなどでは、年収の浮き沈みが激しい人もいます。

例1)保険セールスで今年は年収1,500万円だが去年は2,000万円、その前年は800万円
例2)ハウスメーカ勤務で年俸制なので、給与をもらいつつ確定申告もしている

こういった人は3年間の平均値を出して年収としますが、努力や運の要素が大きいので平均値にストレスをかける場合もあります。
そして、3年平均なので時期によっては平均値が低く不利になることもあります。

このように歩合的な要素があると、年収面では良くも悪くも不安定と見られます。 勤務先がこういった業種だったり、職種が営業担当やセールスレディ―の場合は、AI審査(ローンをAIで自動審査する銀行が増えています)の基礎点数が低くなるように設計されていると知己の銀行員から聞いたことがあります。

ライフサイクル2.別離(別れること)

別離と書いて別れと読むなど、なにかのドラマみたいですが、男女(同性のパートナー同志)の別れもライフサイクルとして影響します。
ここでは「自宅を共有する夫婦が離婚」する場合の問題点を3つ考えてみます。

<自宅を共有している夫婦が離婚する場合の問題>

  • 問題点1.売却するには?
  • 問題点2.相手が保証人になっている
  • 問題点3.自分一人に肩代わりする

問題点1.売却するには?

まず財産分与で夫持ち分を受け取るなら、夫から自分に名義変更して対応は終わりです。
(夫にローンが残っていた場合にどうするか?は後半で)

いっぽう、すべて整理して再出発しようと自宅を売却するのも選択肢の一つです。
しかしこの場合、以下の2つのパターンで変わってきます。

  • 自宅の価値がローンを上回っている(オーバーローンと言います)
  • 自宅の価値がローンを下回っているか(アンダーローン)

自宅の価値がローンを上回っている場合

住宅ローンが残っている場合、自宅を売却(任意売却と言います)したいなら、銀行の許可が必要です。
自宅の価値がローンの残高を上回っていれば、売却してローンも完済できるので、銀行も認めてくれます。
この場合、売却してローンを清算したあとでもまだお金が残れば、夫婦間の持ち分や話し合いで財産分与の対象になります。

自宅の価値がローンを下回っている場合

いっぽう、自宅の価値がローンの残高を下回っている場合では、売却したお金だけではローンが完済できません。
貯蓄など、不足を補える自己資金があれば良いのですが、ローンが完済できないなら銀行が売却を認めてくれません。 売却できなければ、どちらかがその家に住み続けるか、あるいは他の方法でローンを何とかするしかないのです。

問題点2.相手が保証人になっている

保証会社の保証を付けない、保証人扱いの住宅ローンで夫が保証人だった場合や、連帯債務やペアローンでも夫婦がお互いの保証人になることがあります。

離婚した場合、お互いがお互いの保証人から外れたいと思うのが普通ですが、そう簡単に保証人から外れることはできません。
そもそも融資の保証人とは、その人が返済を保証するから融資をしたとも言えるのです。
ですから、保証人本人が死亡した時以外、一度保証人になった人は保証人から外れることはできないのです。

夫婦が離婚したなどは、あくまでその家の個別事情で「離婚は離婚、保証とは別の話し」として、どうしても保証人から外れたい場合には、銀行が認めてくれそうな別の保証人を探さなければいけません。

婚約について

離婚とは対極ですが、婚約者同士でペアローンや連帯債務を組むこともできます。
ただし婚約者同士がローンを借りるには、二人の結婚が大前提になります。

銀行によっては「二人が入籍したあとに戸籍など提出してください」などと結婚することを条件にされる場合もあるので注意が必要です。

いくらお金を借りているからとはいえ、銀行から結婚を義務付けられるようです。

もちろん法的な強制力はないのですが、ローンの条件であり要は強制されていることになるのです。 仮に婚約破棄となった場合で、既に住宅ローンを組んでいると、最悪では返済を求められる可能性もありますので、婚約者同士のローンは要注意と覚えておいてください。

問題点3.自分一人に肩代わりする

相手の住宅ローンが残っていれば、そのローンを自分で肩代わりする方法もあります。
連帯債務やペアローンなら、一人分のローンが2人分に増えるので、収入や勤務先など審査のハードルはさらに高くなります。

しかし、銀行の審査が通り肩代わりができる場合は、自分が借りたローンで相手のローンを返済し、同時に相手の持ち分を自分のものにできます。

これを「負担付き贈与(ローンという負担をオマケに付けて不動産の持ち分を譲る)」と呼び、原則として税金は発生しません。(現実に検討するときは税理士などに相談が必要です)

「別れてもローンは払う」はおすすめできない

ここまで説明してきた売却や肩代わりができない場合などでは、たとえば夫が家から出て行き「夫のローンが残った、夫名義の家に妻と子供が住み続ける」ケースもあります。

しかしこのような「別れてもローンは払う」という約束が守られないこともあるので、おすすめできません。
やむを得ずその形になるなら、

  • 自分たちはなるべく早く自立して出ていく
  • 自分でローンを組んで自分のモノにする
  • 親の援助などで夫のローンを返す
  • 売却してローンを清算

などを考えるべきです。

とりあえずそのままでは、ローンを払う「元夫」に頼る状態が続くことになるので、問題と心配事とともに、相手とも縁が切れなくなります。

豆知識4.養育費はローン審査でチェックされる

住宅ローンの申し込みには家族構成を記入する欄があります。

例えば男性40代で独身の人がローンを申し込んだ場合など、過去に離婚歴が無いか聞かれることがあります。
これは、離婚していると養育費の支払いが必要で、ローン返済を判断するときに重要な要素になります。
離婚しても養育費を払わないような決着になっていれば問題はありません。

しかし、支払う義務があるのに養育費を払わないでいると、道義的に良い悪いではなく、長期化すると相手からまとめて賠償請求される恐れがあるからです。

銀行は争いごとを抱えている人は敬遠するので、離婚歴や養育費については根掘り葉掘り聞かれる場合もあります。

もちろん女性にも言えることですが、養育費は男性が払うケースが多いので、女性のローン申し込みでは離婚歴など突っ込んで聞かれることはまずありません。(この点も、女性には都合がいい男女差かも知れませんね)

いっぽう、逆に養育費をもらっているケースでも、養育費を年収などに加算することはありません。 これは上記と同じ理由で、養育費はいつ途切れるかわからないのであてにできないという銀行の考え方からくるものです。

ライフサイクル3.死亡

同じ別れでも、今度は最後の別れ・死亡についてのポイントです。

<死亡とローン>

  • 本人の死亡と 団体信用生命保険
  • 親の死亡と相続

本人の死亡と団体信用生命保険

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンを借りる人が加入する生命保険です。
掛け金は毎回返済に含まれるので、支払っている実感はありません。

ローンを借りている人が死亡、あるいは所定の高度障害状態になったとき、生命保険会社がローン残高相当の保険金を銀行に支払い、ローンがなくなる仕組みです。
これが団体信用生命保険の基本的説明ですが、残された家族に借金を残さず家を残せる安心の制度です。

とはいえ、団体信用生命も誰かが銀行にいかないと手続きはできません。
特に独身でローンを借りている場合には、両親など肉親が手続きをすることになります。

これは団体信用生命保険に限らず、一般的な生命保険や預貯金の手続きから、家の処分から携帯電話の解約まで考えればキリがありません。

豆知識5.エンディングノートのすすめ

そうならないためには「エンディングノート」を作っておくといいでしょう。
これは遺書というほど大げさではなく「私が死んだら読んでね」くらいのニュアンスで、ローンと団体信用生命保険の手続き、預貯金を一覧表にしておくなど負債や資産について説明を残しておけば、残された家族も安心です。

たとえば本人が死亡して携帯電話のロック解除用パスワードがわからず業者に頼むと高額になったと聞いたことがありますので、キャッシュカードやクレジットカードの暗証番号うや、パソコンなどID,メールアドレスなども残しておくといいでしょう。

親の死亡と相続

  • 親の土地に家を建てた
  • 家を建てるときにお金を出してくれたので、親の持分がある
  • 親が連帯保証人になってくれた

こういったケースでは、親が死亡すると手続きが必要になります。

まず親名義の土地を、そのまま自分が相続できれば問題ないのですが、相続で兄弟と争う恐れもあります。
親の土地といっても、「争族」のリスクはあるのです。
自分たち兄弟だけの時はまだ仲が良かったのですが、それぞれが家庭を持つと事情が変わり、もめ事に発展することがあります。

ところで、父が死亡したのでとりあえず母に相続するケースもあります。

しかし、これは問題を先送りしただけにすぎず、あまりおすすめできません。
面倒なことは、なるべく一度に済ませるべきです。

また、自分の親でも大変なのですから、これがパートナーの親だともっと大変になることは想像に固くないでしょう。
ここで大事なのは、日ごろから以下のようなことを考えておくことです。

  • 親が死んだらどうなるか?
  • なにが起こるか?
  • 文句を言いそうな人は誰か?

またパートナーとも、機会があれば話し合っておくべきです。 もしも、相続の話しでイヤな顔をしたり、逃げるたりするようなパートナーなら、現実にそうなったときは頼りにならないことは目に見えています。

まとめ 〜借りたお金と付き合うには?〜

「転ばぬ先の杖」「備えあれば憂いなし」という言葉があります。
ライフサイクルではいつなにが起こるか、正確に予想することは誰にもできません。
しかし、トラブルや困りそうなことを考え、できることから手を打つことはできます。
この記事が参考になれば幸いです。

最後に、若者向けに金融教育を啓発しているメッセージが皆さんにも通じますので紹介します。

夢の実現に向かってライフプランを立てよう!

ライフプランとは何か?

若い皆さんは、きっと、これからの人生で起こり得る結婚、住宅取得、子どもの教育などの大きな出来事に思いを巡らせることがあるでしょう。こうした出来事をライフイベントと呼びます。また、自分なりの夢や希望を反映させた大まかな人生の構想をお持ちの方もいらっしゃると思います。こうした大まかな人生の構想をライフデザインと呼びます。

こうしたライフデザインをより具体的に、人生の時間軸の中で位置付けたものがライフプランです。

日々なんとなく生活を送ってしまうと、「あの時、こうしていたらよかったのに…」と後悔するかもしれません。「人生は、山あり、谷あり」とよく言われますが、明確なライフプランを立て計画性をもって日々を送ることで、不測の事態に備えつつ、目標や夢も実現しやすくなります。

金融広報中央委員会/知るぽると