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2018年度税・社会保障最新事情 ―公的年金制度の改正―

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前回は、2018年度税制度の改正についてお話しました。
次は、公的年金制度の改正についてお話したいと思います。

マクロ経済スライドの適用強化

2018年度の年金額が前年度と同じだったため、
公的年金については
ほとんど改正が行われていないように感じられますが、
マクロ経済スライドの適用強化
という大きな改正が静かに行われています。

マクロ経済スライドとは

2004年の年金改革により導入された制度であり、
賃金や物価の改定率を調整して
年金の給付水準を抑制する仕組み
です。
ですが、既に年金を受給している方々に配慮して、
前年度より年金額を下げる調整は行わない
(=名目下限措置)というルールがあるため

物価や賃金が十分に上昇しない場合には実施されず、
これまでに実施されたのは2015年度1回のみです。

マクロ経済スライドの長期化と
給付水準の低下

マクロ経済スライドは、
概ね100年後に十分な積立金を保有できると判断された段階で
調整が終了します。
スライド調整が遅れると、
現在の受給者は給付水準が高くなる一方で、
将来の受給者は給付水準が低くなることから、
世代間の年金格差の拡大につながります。

マクロ経済スライドを早期に終わらせるために
現在の受給者に配慮しつつ、
できる限り早期に調整する観点から、
マクロ経済スライドの適用強化という改正が
2018年4月から施行されました。
名目下限措置は維持しつつも、
景気回復期に賃金・物価上昇の範囲内で
前年度までの未調整分を調整する仕組み

(キャリーオーバー)に変更となりました。
これにより、これまでよりは年金額の抑制が
早期に進むようになるものの、
将来世代の年金給付水準を確保するためにも
早期にマクロ経済スライドの実施期間が終了するよう、
さらに踏み込んだ改革を引き続き検討することが求められます。