親の介護とお金の現実は?今からできる「安心の備え方」を解説
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更新日:2025.12.19
親が年を重ねるにつれ、「もし介護が必要になったら…」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
介護には心の負担だけでなく、想像以上にお金がかかります。しかし、今のうちから備え方を知っておくことで、将来の不安をぐっと減らすことが可能です。
この記事では、介護費用の相場や公的支援、今日からできる準備のステップをやさしく解説します。「親の介護」と「自分の生活」をどちらも大切にできるように今から少しずつ備えていきましょう。

このページの目次
まず知りたい「介護費用」の相場
介護にかかるお金は「どのくらい必要なのか」が見えにくいものです。
ここでは、在宅で介護を行う場合と施設に入居する場合の費用を比較しながら、実際にどの程度の支出が想定されるのかを見ていきましょう。
「在宅介護」と「施設介護」の費用比較
介護にかかる費用は、「在宅介護」と「施設介護」で大きく異なります。
在宅介護では、自宅をバリアフリーにするための改修や介護用ベッド・車いすの購入など、初期費用が平均約47万円です。介護サービスの自己負担やおむつ代などを含む月額費用は約5.2万円が目安となっています。
費用を抑えながら住み慣れた環境で過ごせる反面、家族の身体的・時間的な負担が大きくなりがちです。
一方、施設介護は費用が高くなる傾向があります。代表的な施設の費用相場は以下の通りです。
| 施設の種類 | 初期費用(目安) | 月額費用(目安) |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 0円 | 5万〜35万円 |
| 介護老人保健施設 | 0円 | 5万〜20万円 |
| 有料老人ホーム | 0〜数億円 | 10万〜50万円 |
| グループホーム | 0〜100万円 | 10万〜30万円 |
施設介護は費用負担が大きいですが、介護・医療体制が整っており、24時間支援が受けられる安心感があります。「親をどう支えたいか」「どんな環境で過ごしてほしいか」を軸に、家族の経済状況と照らし合わせて検討していくことが大切です。
介護保険でカバーできる範囲
介護保険は、介護サービスにかかる費用の一部を公的に支援する制度です。
自己負担は原則1割(一定以上の所得がある場合は2〜3割)で、残りは保険から支払われます。たとえば1万円のサービスを利用した場合、自己負担は約1,000円(2割なら2,000円)です。
ただし、利用できるサービスには上限があり、要介護度によって「1か月あたりの支給限度額」が決まっています。
上限は以下の通りです。
| 要介護度 | 支給限度額 |
|---|---|
| 要支援1 | 50,320円 |
| 要支援2 | 105,310円 |
| 要介護1 | 167,650円 |
| 要介護2 | 197,050円 |
| 要介護3 | 270,480円 |
| 要介護4 | 309,380円 |
| 要介護5 | 362,170円 |
この限度額を超えた分は全額自己負担になります。また、介護保険でカバーされるのはあくまで「介護サービス費用」のみで、食費・居住費・日用品費などは対象外です。
施設を利用する場合は、これらに加えて日常生活費の負担も発生します。介護保険は助けになる制度ですが、全額をまかなえるわけではない点を理解しておくことが大切です。
施設入居の一時金や初期費用
入居一時金とは、老人ホームなどに入居する際に支払う前払いの費用です。金額は施設によって大きく異なり、0円から数千万円、なかには数億円に及ぶ場合もあります。
一時金は、施設の建設費や運営資金の一部を補う目的もあり、入居後は数年にわたって償却されます。入居時に一部をすぐに差し引く「初期償却」が設定されているケースもあり、その分は退去時に返還されません。ただし、退去時に未償却分が残っている場合や、入居から90日以内に契約を解除した場合は、残額が返金されることがあります。
入居一時金を支払うことで、月々の利用料が抑えられるため、長く入居するほど、家計の見通しを立てやすくなるでしょう。一方で、特別養護老人ホームなどの公的施設では入居一時金が不要で、月額費用のみで利用できます。
費用の仕組みを理解し、契約前に償却や返還条件をしっかり確認しておくことが大切です。

介護にかかるお金に関する注意点
介護費用は「介護サービスの料金」だけではありません。実際に介護が始まると、日用品や交通費などの細かな出費が積み重なり、思っていた以上に家計を圧迫するケースもあります。
ここでは、介護にまつわる「見落としがちな出費」や「家族間の金銭トラブル」、そして「介護離職による収入減」といった注意点を整理してみましょう。
介護用品や交通費などの日常の+α出費
介護が始まると、想像していた以上に細かな支出が積み重なります。おむつ代や介護食、栄養補助食品の購入費などは日々の暮らしに欠かせず、月々の負担になりやすい費用です。
さらに、通院や薬の代金、家族が付き添う際の交通費も見逃せません。理美容代や日用品、レクリエーション費用など、介護保険の対象外となる出費も少なくないでしょう。
また、掃除や買い物、外出の付き添いといった介護保険外サービスを利用する場合も、すべて自己負担となります。
こうした+αの出費は、一つひとつは小さくても積み重なると月に数万円規模になることも。介護を続けるうえでは、日常的な費用も含めて家計を見直しておくことが大切です。
家族・兄弟間の分担トラブル
介護に関わるお金の問題は、家族の関係にも影響しやすいものです。「長男だから多く出すべき」「近くに住んでいる人が負担すべき」といった考え方の違いから、兄弟や親族の間でトラブルになるケースも少なくありません。
原因の多くは、事前の話し合い不足と介護の実態が見えにくいことにあります。実際に介護を担う人と、離れて暮らす家族とでは、金銭感覚や負担の感じ方にズレが生じやすい傾向です。
トラブルを防ぐには、早い段階から「誰が、どの部分を、どのくらい負担するか」を明確にしておくといいでしょう。口約束ではなく、ノートや共有メモなどに記録を残しておくと安心です。
介護離職による世帯収入の減少
親の介護が始まると、仕事との両立が難しくなり、やむを得ず退職や転職を選ぶ人も少なくありません。仕事を辞めると、世帯収入が減るだけでなく、将来の年金額にも影響します。
再就職が難しい場合も多く、経済的に元の状態へ戻すのは簡単ではありません。介護を理由に退職を決める前に、介護休業制度や短時間勤務制度など、働きながら介護を続ける仕組みを確認しておきましょう。
介護は長期化することが多いため、仕事を続けながら収入を確保する工夫が、家計を守る大切なポイントです。

「親の介護」と「自分の老後」の両立が難しい理由
親の介護が始まると、時間やお金、心の余裕が少しずつ削られていきます。その影響は、今の生活だけでなく「自分の老後資金」にまで及ぶこともあります。
ここでは、親の介護と自分の将来設計を同時に考えることが難しい理由を見ていきましょう。
親への支援で「自分の貯蓄」が減ってしまう
介護にかかる費用は、親の年金や貯蓄だけではまかなえないこともあります。その不足分を子ども世代が補うケースは多く、結果的に自分の貯蓄を取り崩して支援する状況に陥りやすい傾向です。
とくに、親の生活費や介護サービスの自己負担分を長期的に負担する場合、老後資金として積み立てていたお金を使わざるを得なくなることもあります。「親孝行だから」「今だけのこと」と思って始めた支援が、気づけば家計を圧迫しているケースも少なくありません。
介護は長期化するほど支出が増えるため、どの範囲まで支援できるかをあらかじめ家族で話し合っておくことが大切です。無理のない範囲を決めておくことで、親の生活と自分の将来の両方を守りやすくなります。
収入が減り支出が増え、家計を直撃する
介護が始まると、収入と支出のバランスが一気に崩れることがあります。介護のために勤務時間を減らしたり、パート勤務へ切り替えたりすることで、世帯収入が減少する一方、介護用品や交通費、医療費などの支出は増えていきます。
「収入減」と「支出増」が同時に起こることで、家計を直撃するケースは少なくありません。とくに、長期的に介護が続く場合は貯蓄の取り崩しが常態化し、将来の生活設計にも影響を及ぼします。
こうした状況を防ぐためには、介護費用の目安を把握し、早めに予算を立てておくことが重要です。必要に応じて、ファイナンシャルプランナーなどお金の専門家に相談し、家計を見直すことも検討しましょう。
介護に備えながら、自分たちの生活を守る視点を持つことが大切です。
自分の老後資金の貯蓄が後回しになる
親の介護が始まると、どうしても目の前の支出を優先せざるを得ません。その結果、自分の老後資金として積み立てていたお金を一時的に止めたり、iDeCoやつみたてNISAを解約してしまう人もいます。
しかし、こうした判断は長期的に見ると大きなリスクになります。老後資金の積立を中断すると、運用期間が短くなり、将来の受取額が減る可能性があるためです。「介護が落ち着いたらまた始めよう」と思っても、生活リズムの変化や支出の継続で再開が難しくなることもあります。
親の介護と自分の老後資金は、別の目的で必要なものです。どちらも大切だからこそ、「親の介護費用に使うお金」と「自分の将来のために残すお金」を分けて考える意識を持ちましょう。

今から始める!介護に備える「安心の3ステップ」
介護は、いざ始まってから慌てて準備するよりも、元気なうちに少しずつ備えておくことが大切です。親の資産状況を把握し、使える制度や保険を確認しておくことで、将来の負担を大きく減らせます。
ここでは、3つのステップに分けて、今日からできる備え方を解説します。
ステップ1:親のお金を把握する
介護に直面してから慌てないためには、親がどのような資産や収入を持っているかを早めに確認しておくことが大切です。親が元気なうちに話し合いをしておくと、いざというときに手続きや支払いで困ることが少なくなります。確認しておきたい主な項目は次の通りです。
- 資産:預貯金、年金、株式・投資信託、不動産など
- 負債:住宅ローン、借入金、クレジットの残債など
- 収入と支出:年金額、医療保険料、生活費、光熱費など
- 重要書類の保管場所:通帳、保険証券、印鑑、マイナンバーカードなど
「お金の話」はデリケートな話題でもあるため、切り出し方にも工夫が必要です。「将来の安心のために一緒に確認しておきたい」といった前向きな伝え方にすると、親も受け入れやすくなります。お互いにオープンに話せる関係を築いておくことが、後悔のない介護準備の第一歩です。
ステップ2:使える保険を確認する
介護に備えるうえで欠かせないのが、公的保険と民間保険の両方を確認することです。
まず、公的な制度としては「介護保険」や「医療保険」があり、要介護認定を受けることでさまざまな介護サービスを利用できます。どんなときに、どのくらいの自己負担で利用できるのかを把握しておくと安心です。
あわせて、親が加入している民間の保険(医療保険・介護保険・がん保険など)の内容もチェックしておきましょう。古い契約のままだと給付条件や保障範囲が現状と合わないこともあるため、内容を見直しておくことで自己負担を抑えられる可能性があります。
また、子ども世代自身が「親の介護に備える保険」に加入しておくのも一つの方法です。介護休業中の収入減を補う保険や、在宅介護費を支援する商品もあるため、ライフプランに合わせて検討してみるのも良いでしょう。
ステップ3:自分の老後資金も同時に守る
親の介護にかかるお金と、自分の老後資金は別の目的のものとして考えることが大切です。
どちらも大切だからこそ、無理に同じ財布から出してしまうと、将来の生活に支障が出るおそれがあります。
親の介護費用をまかなうために老後資金を取り崩してしまうと、再び貯蓄するのは簡単ではありません。積立投資やiDeCo・つみたてNISAなどを利用して、引き出しにくい仕組みを作っておくのも効果的です。
また、「どこまで支援するか」「自分たちの生活費はいくら残すか」といった支出の上限をあらかじめ決めておくと安心です。親の介護と自分の将来を両立するために、長期的な視点で家計を管理する意識を持ちましょう。

活用できる公的制度・支援サービス
介護にかかる費用をすべて自己負担でまかなう必要はありません。公的な制度をうまく利用することで、経済的な負担を軽くできる場合があります。
ここでは、介護保険の負担軽減制度や医療費控除、地域の相談窓口など、知っておきたい支援制度を紹介します。
介護保険の負担軽減制度を知る
介護保険では、所得や世帯の状況に応じて自己負担を軽くできる制度があります。代表的なのが「高額介護サービス費制度」です。介護サービスを利用した際の自己負担額(1〜3割)の合計が、同じ月に所得に応じた上限額を超えた場合、その超えた分が払い戻されます。ただし、食費や居住費、福祉用具の購入費などは対象外なので注意が必要です。
また、施設に入所している方などで所得や資産が一定以下の場合は、「特定入所者介護サービス費」が受けられる場合があります。これは、居住費や食費の自己負担が上限を超えた分を介護保険から支給する仕組みで、利用には市区町村で「負担限度額認定」を受けなければいけません。
さらに、自治体によっては「家族介護慰労金」やホームヘルプサービス等の助成など、独自の支援制度を設けているところもあります。制度の有無や条件は地域によって異なるため、まずはお住まいの市区町村窓口に相談してみるといいでしょう。
「医療費控除」で賢く備える
介護にかかる費用の中には、医療費控除の対象になるものもあります。医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合(所得が200万円未満の人は所得の5%を超えた場合)に、確定申告をすれば税金が一部戻る制度です。さらに、この制度は扶養の有無に関係なく生活を共にしている家族の医療費をまとめて申告できるため、家計の負担を抑えるのにも役立ちます。
対象となるのは、医師の指示に基づくおむつ代や、介護施設で受ける医療関連サービスの自己負担分など。一方、食費や居住費、日用品の購入費などは含まれません。
確定申告に必要な領収書や明細は、日ごろから保管しておくと安心です。介護費用を正しく申告すれば、家計の負担を少しでも軽くできる可能性があります。
困ったときは「地域包括支援センター」に相談する
介護に関する悩みや疑問があるときは、地域包括支援センターを頼るのがおすすめです。地域包括支援センターは、市区町村が設置している「介護のよろず相談窓口」で、介護や福祉、医療、生活支援などを無料で相談できます。
地域包括支援センターは、介護に関する手続きや費用のことなど、困ったときに相談できる場所です。担当のケアマネージャーや保健師、社会福祉士などが連携しながら、状況に合わせて最適な支援を案内してくれます。
センターは全国の市区町村に設置されており、中学校区ごとに1か所を目安に配置されています。介護に関する不安を感じたら、ひとりで抱え込まず、まずは身近な窓口に相談してみましょう。

【まとめ】一人で抱えずに「お金のプロ」へ相談を
ここまで、親の介護にかかるお金の実態や、公的支援、今からできる備え方について解説しました。
介護とお金の問題は複雑で、家庭ごとに事情も異なります。介護保険制度や各種の支援を上手に活用しながら、将来の家計を見据えた準備を進めることが大切です。
不安を感じたら、ひとりで抱え込まず、ファイナンシャルプランナーやケアマネージャー、自治体の窓口などに早めに相談してみましょう。専門家のサポートを受けることで、負担を軽くしながら、安心して介護と向き合うことができます。
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