【FP相談事例19】持ち家か賃貸か?悩む独身女性のマネープラン
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当連載コラムでは、女性専門のFPオフィスとして、神戸を拠点に活動している弊社の無料個別相談を利用してくださったお客様を“マネレピさん”とお呼びして、ご相談内容と弊社からのご提案をご紹介しています。
第19回目は、この先おひとりさまと考えたときに、持ち家がいいか賃貸がいいか迷っている、2人の40代独身女性のお話です。
独身女性にとって、30代のときはぼんやりとしていた「生涯おひとりさま」の可能性も、40歳を超えるとぐっと現実味が増してくるもの。
ぼんやりとしていたときにはそのままにしていた「持ち家か賃貸か問題」についても、具体的なアクションをと思われるのでしょう、口にされるお客様が40歳を境に増えると感じています。
かくいう私自身が独身女性の1人として、住宅購入の事は40歳になってからと思っているので、「マイホームが欲しい」とはっきりした気持ちがない場合、本格的に考えるタイミングは40歳を超えてからが多くなるのかもしれません。
今回のコラムでは、
一生独身で生活することを考えたら、賃貸で住み続けるより住宅購入するほうがいい?
年をとると家を貸してもらえないって聞くし、賃貸で家賃を払い続けるのはもったいないし・・・。
でも実際に住宅購入をするところまではいっていない。
そんなお客様のご相談事例をもとに、
マイホームが欲しいと決めている(もしくは既にマイホームを所有している)わけではなく、持ち家がいいか賃貸がいいか迷っている独身女性が方向性を決めるにはどうしたらいいか、そしてどのようにマネープランを立てるのがいいかについてご紹介します。
⇒前回のマネレピさん『50代独身女性「マネープランやお金の運用、今のままで大丈夫?」』のお話はこちら
このページの目次
今回のマネレピさん
42歳会社員の独身女性A様と、41歳会社員の独身女性B様。
賃貸の一人暮らしで、住宅購入をするかどうか悩んでいる、共通点の多いお2人。
お2人のケース、弊社では珍しい事ではなく、前回ご紹介した事例の女性も、「40代」「独身」「住宅購入検討中」と“弊社の典型的なお客様”とも言えます。
⇒『「老後や住宅購入、やりたい事のために少しでもお金を貯めたい」40代独身女性』
持ち家か賃貸か、悩むならひとまず賃貸を選択
“弊社の典型的なお客様”と言えるくらいよくある、「40代」「独身」「住宅購入検討中」の女性からのご相談。
実際に悩まれている女性はもっと多いものと想像します。
持ち家がいいか賃貸がいいか、答えが出せずモヤモヤと悩む時間はつらいもの。
だからこそ結論から。
「持ち家か賃貸か、悩むならひとまず賃貸を選択しましょう。」
持ち家か賃貸か、悩むなら賃貸をすすめる理由
持ち家か賃貸か悩んでいるときにまず考えていただきたいのは、住宅購入を検討している動機が、打算的になっていないかということ。
“打算的”と言うと聞こえが悪いかもしれませんが、マイホームを手に入れることを考えたらワクワクする、という気持ちがご自身の中にあるか確かめて欲しいのです。
お客様がなぜ持ち家か賃貸か悩まれるのか、その背景にある思いを、弊社のファイナンシャルプランナーはコンサルティング中の会話から読み解きます。
「周りからマンションを買う事をすすめられたりするけれど、そうなるとおひとりさまで固定されてしまう気がして行動できない」とおっしゃるA様。
「独身のため老後のお金が不安。このままでいいのか、住宅を購入するべきかアドバイスが欲しい」とおっしゃるB様。
「けど」とか「するべき」などの言い回しは、ご自身の中にマイホームに対してのワクワクする気持ちがあれば出てこないのではないでしょうか。
お2人の言葉の裏には、老後のお金に対する不安や、お金は無駄なく使いたい(賃貸で支払うお金がもったいない)といった気持ちがあることでしょう。
でも、老後のお金の不安を払拭する事や、お金を有効活用する事は、「マイホームを購入する」という選択をしなくても実現可能です。
マイホーム購入で「得るもの」「失うもの」
【マイホーム購入で得るもの】
●お金の負担を減らせる
多くの方は、今支払っている家賃と同額程度に住宅ローンの支払い額がおさまるよう、物件を探されることと思います。
単純に考えると、持ち家の生涯の支払い期間は最長でも35年。40歳に購入したとして75歳には完済します。
それに対して賃貸の場合、女性の最多死亡年齢である92歳(厚生労働省「令和元年簡易生命表の概況」)まで家賃を支払うと考えたら、持ち家より1.5倍多い金額を負担することになります。
持ち家にも、固定資産税やリフォーム代、マンションなら管理費や修繕積立金といった、賃貸にはない負担があるため、大雑把な比較であることは否めません。
ただ、負担総額の比較という実質的な面でのメリット以上に、心理的な金銭メリットが持ち家にはあります。
持ち家の心理的な金銭メリットは、セカンドライフにおける支出負担感の軽減にあります。
働いてお金が入ってくる現役時代と、公的年金をメインに資産を取り崩しながら生活するセカンドライフとでは、支出に対する負担感は後者のほうが大きいもの。
永続的な支出の負担は想像以上に心理的負荷がかかります。
とは言え、ここで触れたお金の負担を減らすという持ち家のメリットは、永続的な支出の負担への心理的負荷も含め、資産運用をすることでも代用できるため、詳しくは後述します。
●年をとっても住める家があることへの安心感
今は賃貸でよくても、年をとったら借りられるところがなくなるのでは?との心配から住宅購入を考えられる方もいます。
高齢による事故や孤独死の不安から貸し渋るオーナーさんもいるようですから、うなずける話ではあります。
でも、少子高齢化が進む日本に住むうえで、高齢だからと全くどこの家も借りられないというのは考えにくいのではないでしょうか。
現に、一人暮らしの高齢者のうち33.5%が借家住まいというデータもあります(総務省「平成30年住宅・土地統計調査」)。
また、一般的な賃貸住宅に住む以外にも、老人ホームやサ高住に住むという選択肢もあるため、年をとっても住める家があることへの安心感という面での持ち家のメリットはそんなにないのかもしれません。
【マイホーム購入で失うもの】
●ライフスタイルに合わせて柔軟に住まいを変えられる自由度
マイホーム購入によって失うものの最たるものは、人生における選択肢ではないかと思います。
マイホームを得ることが、「ローンがあるからここに住み続けるしかない」「この生活から変えられない」となってしまうのは、何とも気が重い話です。
もし結婚する事があったら?
他の土地に住みたいと思う事があったら?
転職などで収入が減ってしまう事があったら?
人生における選択の自由や柔軟性を重視するなら、また、自分のライフスタイルがまだ固まっていないと感じているのなら、マイホームに住むことが幸せにつながるかどうかは熟考したほうが良いでしょう。
「周りからマンションを買う事をすすめられたりするけれど、そうなるとおひとりさまで固定されてしまう気がして行動できない」というA様のように、同じ思いを持つ独身女性は多いのではないかと思います。
●老後に向けた資産形成をする機会
「老後」は一般的に誰しもが通るライフイベントです。
にもかかわらず、今の自分から一番遠いところにあるため、その為のお金の準備は先延ばしにしてしまいがち。
収入にはかぎりがありますから、住宅ローンの返済を優先すれば、おのずと資産形成に割くお金・時間は減ってしまいます。
老後のお金の準備が後回しになってしまうことの何がこわいかと言うと、住宅購入のお金はローンという形で借りることができても、老後のお金は借りることができないということ。
だからこそ、マネープランをつくって計画的に資産形成をしていくことが、老後のお金に困らないためには必要です。
そして、老後の資産形成を効率的に行う(少ない元手で大きな資金を準備する)には、時間をかけることが欠かせません。
持ち家か賃貸か?悩む独身女性の資産運用とマネープラン
持ち家か賃貸か?悩む独身女性に知っていただきたいのは、悩んでお金を動かせない状態(預貯金に預けっぱなしの状態)が何よりの損失になるということ。
老後のお金の不安を払拭する、お金を有効活用するには、どのような資産運用をするのがいいのか。
また、どのようにマネープランを立てるのがいいのか説明したいと思います。
「時間」と「金利」を味方につけた資産運用
少ない元手で大きな資金を準備するには、先に挙げた「時間」と、「金利」を味方につける必要があります。
現在の預貯金の金利をご存知ですか?
普通預金が0.001%、定期預金が0.002%です。
預貯金に預けていればほぼ付かない金利ですが、世の中には預貯金よりも高い金利の付く金融商品が存在します。
お金の預け先を変え、預貯金よりも高い金利でお金を運用することで、増えるお金にどれだけの違いが出るのか?
詳しくは、『女性のためのマネーセミナー「マネレピ」《神戸・大阪》参加したら何がわかるの?』内、「1.5老後資金はどうやって準備する?」をご覧ください。
時間をかけることで多くの利息が受け取れることについても説明しています。
特に、「お金は、寝ているか働いてくれるかで大きな差①」のグラフ、金利の高い・低いによる運用10年を超えてからの増え幅の違いを見ていただきたいと思います。
老後から逆算してマネープランを立てる
資産運用を考えたとき、どの金融商品で運用するかをまず先に考える方が多いかと思います。
ところが、金融商品の優劣を比較しただけで進める資産運用は、ミスマッチ(望まない結果)を引き起こします。
なぜなら、運用を続けていくための動機づけや、その金融商品で運用することがあなたに適しているという根拠に欠けるからです。
ミスマッチを防ぐには、目標を定め、目標から逆算した運用を行う必要があります。
お金の不安のないセカンドライフを送ることが目標であれば、老後の不足資金を可視化し、可視化した金額を貯めるためにどのような運用をしていくのか、マネープランとして形にする、そしてそのマネープラン通りに実行していくことが求められます。
このように、目標を定め、目標から逆算した運用を行う資産管理法は「ゴールベース・アプローチ」と呼ばれ、資産運用が盛んな米国の金融アドバイザーを中心に取り入れられています。
⇒ゴールベース・アプローチについて詳しく
~マネープランを採用していただいて~ お客様の声
A様
「この度は、相談に乗ってくださり、契約手続きなどもしていただき、本当にありがとうございました。
安心できる老後の生活が送れるよう、頑張ります。
今後、何か質問や変更がありましたら、頼らせていただければと思います。」
B様
「セカンドライフに不安を抱き始めた頃に、マネープラン講座を受講しご縁あって今村様に出逢えた事を嬉しく思います。
将来安心して過ごせるようなプランをご教示いただけた事に感謝いたします。」
5.資産形成がうまくいっていれば、マイホーム問題はいつでも解消できる
誤解のないよう最後にお伝えしたいのは、マイホームの購入を真っ向から反対したいわけではないということ。
繰り返しにはなりますが、持ち家か賃貸か迷って、お金を寝かせたまま(預貯金や定期預金に預けっぱなし)にしている状態が損だということに気付いていただきたいのです。
資産形成がうまくいっていれば、マイホーム問題はいつでも解消できます。
マイホームが欲しいと思う気持ちがどこからくるのか、慎重に見極めてからでもマイホーム購入は遅くないと思います。
~ずっと身近に、ずっと安心を~ その後のお付き合い
叶えたい暮らしに向かって踏み出したお客様の思いを大切に、私たちはマネープラン実行後のフォローも行っています。
複数社にわたるご契約の一括管理や、ご住所などの各種変更のお手続き、手作りのニュースレター「くまちゃん通信」のお届けと、その内容は様々です。
日々生活していると、色々な場面でお金に関する気になる事が出てくることと思います。
そんな時に私たちを思い出していただければ幸いです。
“あなただけ”のマネープランで毎日をハッピーに!