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「相続未経験」の女性必見!相続の「困ったこと」を銀行員が解説【後編】

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将来、あなたに降りかかるかもしれない相続の問題。
全3回に分けてお届けしている本コラム。

前編【相続の困ったこと「預金凍結」】
中編【資産凍結に備える「3つの対策」】

今回は、相続の困ったこと、2つ目のケース
「借入」「借金」があるケースについてお話したいと思います。

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相続の「困ったこと」2.借入がある場合

借入、借金が残っているとどのような問題があるか?について解説します。

相続では預金や不動産、有価証券などの財産(資産)だけでなく、ローンや借金といった「負の遺産(負債)」も引き継ぎ方を考えなければいけません。

親には資産らしいものがなく、ただ借金しか残っていなければ相続放棄(*)を選ぶこともできます。

しかし親が多くの不動産を所有していたり、資産家だったりすると「相続対策」としてアパートローンなどの借入が残っている可能性があります。(詳しくは本文下部で説明)

これも相続対策と呼ぶくらいですから、資産家本人が自分の死後を考えて対策するので、実際に死亡したときに
相続対策の仕上げをすることになります。

そして、その相続対策の仕上げをするのは相続人であるあなた達家族なのです。

(*相続放棄:相続の権利を放棄することで、裁判所に申し出をし、相続放棄が認められると、最初から相続人ではなかったとされます。財産・負債すべての相続権を失うことになりますが、その代わり借金の返済もする必要もなくなります)

相続で借入れがあると困ることはいくつもありますが、ここでは2つ紹介します。

 <相続で借入があると困ること>
【1】担保があると大変
【2】借入れが残るとプラス・マイナス両方を引き継ぐ必要がある

相続で借入れがあると困ること【1】担保があると大変

相続でローンや事業資金などの借入れが残っていると、それらを相続で引き継ぐにはいろいろと手順、注意事項がありますが、ここは次項で説明するとして、まずここでは担保について説明します。
死亡した親名義の不動産が、ローンや事業資金など借入金の担保になっていると、相続で分割(分筆)するのも大変になります。

たとえば一筆の土地(土地や建物などの不動産は「一筆(いっぴつ・ひとふで)」というように数えます)があり、兄弟二人が半分ずつ相続することになったとします。
一つ(一筆)の土地を2つ以上に分ける「分筆(ぶんぴつ)」は、その土地が担保になっていたとしても、債権者(融資している銀行など)の同意がなくても、相続人だけで手続きが可能です。

これはなぜかというと、Aという土地に設定されている担保(抵当とも)は、その土地をBCの2筆に分筆すると、担保もBCの両方にくっついて来るからです。

しかし、その不動産を売却したいとなると、こちらは債権者の同意が欠かせません。

当然といえば当然ですが、土地を担保にすることでお金を貸しているのですから、その担保不動産を断りなしに売却されたら、債権者は貸したお金を「取りっぱぐれて」しまいます。
ですから、相続した不要な土地をすぐ売却してお金にしたいと考えても、担保があるとうることはできなくなるのが大原則なのです。

相続で借入れがあると困ること
【2】プラス・マイナス両方を引き継ぐ必要がある

上述した不動産と担保のように
「担保がついている不動産はイヤ、それ以外のすぐに売れる不動産だけ欲しい」
「黙っていても家賃が入ってくるアパートは兄さんに譲るから、その借金も兄さんが引き受けるのが当然でしょ!」
人は誰でも借金はいらない、財産だけ欲しいのが偽らざる本音ですが、現実はそう簡単にはいかないので、相続が「争族」になる一因にもなっているのです。

借入れが残っているときはプラス・マイナス両方を引き継ぐ必要がある
というのが大原則
です。
そこで今度は、借入そのものについても解説していきます。

●借入が残っている~住宅ローンの場合~
住宅ローンには団体信用生命保険(*)が付帯されるのが一般的なので、親に住宅ローンが残っていてもトラブルになる心配は少ないでしょう。

団体信用生命保険とは、住宅ローンを借りる人が加入する生命保険で、本人が死亡や高度障害など保険金支払いの事由に該当する状態になると保険金が支払われ、ローンが完済できる仕組みです。
生命保険料は毎回のローン支払いに含まれ、支払われる保険金はその時点のローン残高と同額なので、原則として不足も余りも生じません。
したがって実家に親名義の住宅ローンがあっても、死亡した親が団体信用生命保険に加入していれば借金はなくなって、実家はそのまま残ります。

これは相続に限ったことではなく、この記事を読んでいる独身女性の方も同じなのです。
つまり、これから自分も住宅ローンを組んで家を手に入れようと考えている独身女性であれば、自分自身が親より先に死んでしまっても、団体信用生命保険があれば自宅の不動産は親兄弟に残してあげることができるのです。

もちろん残された相手が感謝するかどうか?は別問題ですが、ある意味で資産としての不動産を残す方策とも言えます。

ただし、なかには相続対策として、住宅ローンで団体信用生命保険に加入せず、わざと債務を残す相続対策をする場合もあり、これには注意が必要です。

こちらは次項のアパートローンとつながるので、詳しく説明します。

●借入が残っている~アパートローンの場合~
アパートローンは資産家や不動産の有効活用といった相続対策として、債務を残すため団体信用生命保険に加入しないケースが主流です。

相続税の節税対策として所有する不動産を有効活用しアパートを建築し、ローンを借りることで、財産としてのアパートと負債としてのローンが残り、負債が財産から控除されるので、相続税が抑えられるというのがよくある相続対策になります。
しかし、相続対策であるアパート経営もときにはトラブルのもとになることがあります。

銀行員が対応した実例:「ありがた迷惑な相続対策」

アパートを数棟経営し、同時に億単位のローン負債も残して死亡した父の相続をすることになった一人娘のBさん(女性・独身)のケースです。

Bさんは自立して働き、離れて暮らす両親とも問題なく交流していました。
資産家である父が、相続対策として税理士や銀行の提案もあり、アパートを数棟ローンを組んで不動産経営をしていたのです。
そんな父が死亡し、母がアパートを相続することになりました。
相続対策で目指したとおり、ローンという負債との相殺で相続税はある程度おさえられました。
しかし結果として、母が資産の大部分とアパート、そしてアパートの借金とアパート経営までを背負うことになったのです。
またアパートローンなどでは本人以外の家族を連帯保証人とするのが原則ですが、このケースではもともと父が債務者、母が保証人となっていました。
保証人だった母が債務者になったので、代わりに人Bさんが保証人になることとなり、私の銀行窓口で今後についての相談で何度かお話をしました。

実は父が健在のころから、すでにアパートの入居が落ち込みはじめていて、また定期的な修繕なども必要となり、維持費などの出費が多くなりつつあったそうです。
いっぽうそれまでの母は、父が始めたアパート経営にはほとんど関与しておらず、
したがってアパート経営については知識も無く、途方に暮れてしまいました。
母のため保証人とならざるを得なかったBさんは、頻繁に実家へ戻り父が残した「ありがた迷惑な相続対策」の
面倒を見なければいけなくなってしまった
のです。
今は母名義でも、母が死ねば今度は自分が背負うことになるので、できるだけ早いうちに売却し、アパート経営と借金の双方を減らそうと考えているそうです。

亡き父は、妻や子(Bさん)に相続税の負担を減らし、家賃の定期収入とアパートという資産を残したかったのですが、その「遺志」がアダになりかけているケースです。

相続と借入の困ったことに備える『3つの対策』

相続で借入があると困ること、その対策から3つ紹介します。
【1】エンディングノートの活用
【2】いつか自分に降りかかる相続に当事者意識を持つ
【3】「死人に口なし」を忘れない

対策1.エンディングノートの活用

子供である自分から親に遺言を作れとは言いにくいし、そもそも遺言は大げさすぎる。
そんなとき役立つのが最近はやりのエンディングノートです。
預金や株式、不動産などの資産やローンなどの債務を、まず親自身で整理するためにエンディングノートの活用をおすすめします。

ここでのポイントは、子供である自分に兄弟がいるのなら、あとあとでトラブルを防ぐために、兄弟揃った場面で話すのが良いでしょう。
例えばお盆や正月など帰省して家族が一堂に会するタイミングで、片意地張らずにノートをつけることを持ち出してはいかがでしょうか?

また、こういったタイミングで親にFPを紹介するのも一案です。
そして、独身女性であれば自分自身のエンディングノートを親と一緒に書き始めるのも良いでしょう。
★下記コラムもぜひご参考にしてみてください
エンディングノートのススメ①
エンディングノートのススメ②

今回調べてみて思ったのは、エンディングノートは中高年の方のための「終活」のツールとしてだけでなく、若い方にも危機管理のツールとして使えるということ。
私自身もそうですが、大学の頃から現在に至るまで親元を離れ一人暮らしをしているので、家族とは共有出来てない事柄がほとんどです。

それに、自分の生活や人生って自分にとっての家族ってなどを振り返りながら少しづつ書いていくと、新しい気づきや、大げさかもしれませんが、少しだけ自分を変えられるような気もしますね!

対策2.いつか自分に降りかかる相続に当事者意識を持つ

自分には相続なんて関係ないと思っていたのに、こんなに苦労するとは知らなかった
我が家に資産があるとは知らなかったけど、むしろ無いほうがありがたかったかも

これらは、私が銀行員として対応した相続で、実際に相続に困った人たちが抱いていた正直な気持ちです。
相続はいつか自分に降りかかってくる困りごとです。
もちろんすべての人が困るとも限りませんが、そのときになって困りたくなければ、今のうちから相続で困らないか?自分で調べ、自分で対策を考えておくことが必要です。
相続は突然やってくる困りごとで、降りかかってきたら、逃げることはできません。

対策3.「死人に口なし」を忘れない

これも銀行員の経験として痛感したことですが「死人に口なし」とはまさにその通りだと考えています。
本人が遺言などで気持ちを残してくれていないと
父が〇〇をくれると約束していた」「母があとのことはお前に任すと言っていた」
などと主張しても証明ができなくなり、相続でもめる「あるある」と言えます。
いっぽうこれとは逆に「父が資産は俺に任せると言っていた」
と他の相続人から言われても、それを真向に否定することもできません。

こうしたトラブルを防ぐためにも、文書やエンディングノートなどで残すのが理想です。また上述したように、帰省したときなどのタイミングで相続について切り出すべきです。
きっかけは、たとえば
「自分たちのことを思うなら、どうしようと考えているのか今のうちに教えて欲しい」
とストレートに気持ちを伝えてはいかがでしょうか?
親子の意思疎通がスムーズだった家庭は、相続でもあまりトラブルが起きずにスムーズな手続きが進むことが多いと、銀行員として経験から感じています。

まとめ~対策とは逆にやってはいけないこと~

最後に、対策とは逆に相続でやってはいけないことをまとめとしてお話しします。
これは銀行員として私が見聞きしたことばかりです。

夫が死亡して、預金が凍結される直前に出金した現金を、しばらくして妻の口座に入金したことが、ほかの相続人からの密告で発覚し、相続税逃れと税務署から厳しい対応をされた
税金を払いたくないので、土地が売れて手にした億単位のお金を、未成年だった子供名義の定期預金にしたが、その後の税務調査で借名預金(名義預金)と判定され、本人名義の預金へと強制的に戻されてから追徴も合わせ多額の税金をはらうことになった

資産を隠すため、現金でおろした大金を庭に埋めた。またそのことを、得意げに話していたが、抜き打ちでやってきた税務署員立会いのもと本人が庭を掘り起こして隠し現金がバレてしまった

これらの「笑えない笑い話」は、もちろんすべていけないことです。
もちろんいけないとわかっていても、人は焦ると判断能力が低下し、こういった短絡的な行為に走ることもあるのです。
もちろん私も聖人君子ではないので、もしかしたら悪の誘惑に勝てないかもしれません。
しかし、やってはいけないことは、やってはいけないのです。
そして、そのときに焦らないよう、今からできることがあればちいさな対策でも手を付けてみましょう。

また、そのためにもFPなどお金のプロの力を借りるのが有効です。
FPがチカラになってくれるのは、なにも資産形成だけではありません。

マネーライフ、お金と人生全般に有益なアドバイスをしてくれるFP、信頼できるプロに
相談されることをおすすめします。

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