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独身女性の住宅ローンは元金均等と元利均等どちらを選ぶべき?

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住宅ローンについてご自身でいろいろ調べて、キーワード検索などでこの記事に出会った人は、もしかしたら次のような人ではないでしょうか?

•これから家の購入を検討している30~40代の独身女性
(50代以上の独身女性ならもう家を手に入れているか、あるいは気ままに賃貸でも良いとライフスタイルが確立されているはずだから。)

•自分でローンのことをしっかり調べようとしている人だから、自分1人だけでも十分にローンを組むことができる人
(なぜなら、ローンを組むことが最も重要な課題なら「年収〇〇万円でも組めるローン」「独身女性はローンを組むのに不利?」といったタイトルの記事をさがしているはずだから。)

•返済方法の選択を重視している点から、資産形成に有利なのはどちらの返済方法なのか?と冷静に考えている人
(主婦の人なら現実的にすぐ手に入る「お得」を求めて「住宅ローンで金利の低い銀行ランキング」「住宅ローンに特典があるコスパの高い金融機関はどこ?」といった記事に向かっているはずだから。)

これはまったくの当てずっぽうではありません。
私は勤続30年以上の銀行員です。
お客様と会う前にはできるだけ相手の情報をインプットし、分析して導き出したお客様のイメージ像を掴んだうえでセールスするようにしています。こうして前もって推理したイメージはけっこう当たっていると自負しています。
この記事を読んでいる人で、一つでも私のイメージ像に近いものがあれば、これからのお話しも共感してもらえると思いますし、残念ながら私のイメージが外れていたとしても、きっと参考になる内容だと思っています。

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元利均等返済と元金均等返済~住宅ローン返済方法の違い

では、はじめに住宅ローンの返済方法である「元利均等返済」と「元金均等返済」についておさらい的に基本的な説明をしていきます。
(そのほうが内容をより理解しやすいと思うわけですが、返済方法の説明はいらないという人は飛ばしても構いません。)

元利均等返済とは?元金均等返済とは?

元利均等返済とは、毎回の返済額が同じ金額(均等)になるようにする返済方法です。
具体的には、毎回の返済を「元金と利息の組み合わせが均等な金額になるよう」に、コンピュータが計算します。
住宅ローン以外にも、マイカーローン、教育ローンなどローンの分割返済ではこの元利均等返済が主流で、後述する元金均等返済を選ぶ人は少数派です。銀行やローンの種類によっては、返済方法が元利均等返済だけになっているものもあります。

いっぽう元金均等返済とは、毎回の返済額のなかで元金を同じ額(均等)にした返済方法です。
毎回の元金と毎回(1ヶ月)の利息を合計したのが返済額になりますので、融資残額が大きい最初のころは、毎回金利も大きくなり、したがって合計の返済額も大きくなります。
つまり元金均等返済とは毎回返済は元金だけが均等で、利息をプラスして返済する方法。プラスされる利息は融資残額が大きい初めのころは大きくなる。元金は均等で変わらないので、返済が進み残額が減ってくると利息が減り、合計の返済額が毎回少しずつ少なくなっていく仕組みです。
元金均等返済は、事業資金融資の返済方法で主流になっていて、ローンとは逆に事業資金融資で元利均等を選ぶケースは少数派です。

住宅ローンで元金均等返済を選ぶのは現実的ではない

住宅ローンで返済方法はどうすべきか?と問われたとき、元金均等返済を選ぶのは現実的ではないという考えから、私は次のように説明して、元利均等返済をおすすめしています。

<銀行員の私が元利均等返済をおすすめする理由>

  • ローンの多くが元利均等返済なのは、毎月返済を固定して生活を安定させるため
  • 同じ条件では元金均等返済のほうが支払利息は少くなるが、住宅ローンを返済する長い時間を考えれば、それほど大きい差ではない
  • 支払い利息の面だけをとらえて、元金均等のほうがお得だとは言い切れない
  • そもそも元金均等返済は、利息を経費計上する事業資金の返済方法
  • 事業資金融資で元利均等は少数派で、住宅ローンで元金均等返済を選ぶのも少数
  • 30年以上の銀行員生活で数多くの住宅ローン扱ったが、元金均等は1件もない
  • 自分の勤務する銀行全体でも、住宅ローンで元金均等を選ぶ人はごく少数

次項では、ここまでの説明を整理するため、表にまとめてみました。

元金均等返済と元利均等返済を比較

返済方法毎回返済額(注1)利息を含めた総支払額(注2)元金の減るスピード(注3)主な融資銀行員の意見
元利均等返済一定で変わらず元金均等より多い遅い住宅ローンローン全般ローン返済と並行して資産形成したい人におすすめ
元金均等返済はじめの頃は多く、そのあと徐々に減っていく元利均等より少ない早い事業資金融資総支払額を抑えたい人におすすめ
【前提条件】融資額3,000万円、25年返済、金利1%、ボーナス返済なしで比較した場合
(注1)第1回の返済額は元利均等:113,061 円<元金均等:148,013円で元金均等が34,952円多い
元利均等返済は毎回返済額を均等にするため、第1回または最終回だけ返済額が異なる性質があるため、ここでは2回目以降の均等返済額とした
(注2)利息を含めた総支払額は元利均等返済で約3,394万円に対し、元金均等返済は約3,378万円で元金均等返済が約16万円少ない
(注3)注1と同じ条件で比較した場合、返済スタートからの経過年数で比較すると
•5年目のローン残額~元利均等:24,584,303 円>元金均等24,000,000 円
•10年目のローン残額~元利均等:18,891,051 円>元金均等18,000,000 円
•20年目のローン残額~元利均等:6,614,277 円>元金均等6,000,000 円
上記は住信SBIネット銀行HPの住宅ローン返済シミュレーションを利用

ローン返済と同時に老後資産を形成するおすすめの運用方法3選

ここまで返済方法の違いを説明してきました。
では、次にどうすればいいのでしょうか?

資産形成をするためには、次のような考え方があります。
•ローンを組み始めた段階で、返済と並行して老後資産を積み立てていくべき
•なぜなら働ける時間は有限だから
•それなら、なるべく無駄を省きながらスタートは早くしたほうがいい

私は銀行員として、数多く住宅ローンを取り上げ、また途中から返済が苦しくなったお客様の相談にも乗ってきました。その経験から感じたことは住宅ローンの返済が始まってしばらくすると、ローンの支払いを中心にした家計の組み立てが慣性系となり、そこから毎月積立するなど、資産形成をスタートするのはハードルが高くなるということです。

資産形成は早めに、できればローンを組む前から始めたほうがいいです。
そのためにおすすめの運用手段を3つ紹介します。


<銀行員おすすめの運用方法3選>
1.長期分散投資 ~投資信託~
2.未来の自分が受け取る ~個人年金~
3.貯金箱として ~積立預金~

おすすめの運用方法1.長期分散投資 ~投資信託~

住宅ローンの返済期間は、中古マンションは28.9年、注文住宅新築でも32.1年(*)と、やはり30年近い長期間の返済になっています。
(※出典:国土交通省住宅局『令和元年度住宅市場動向調査報告書』

こうした長期間の投資を考えるなら、長期分散投資の投資信託がおすすめです。
また住宅ローンの返済方法を選択して浮いたお金をもとにするなら、毎月コツコツ積み立てる積み立て型の投資信託がいいでしょう。
投資を考える時に良く登場する「3つの分散」という言葉があります。

<投資 3つの分散>
1.投資(資産、アセットクラス)の分散~株式、債権、金地金など投資する対象を分散することでリスクの分散を目指す
2.地域の分散~投資する地域(国)を分散することで、投資先地域の金利、景況や為替相場を分析し運用することでリスクの分散を目指す
3.時間の分散~長期間連続した投資を行うことにより、短期での価格変動などのリスクの分散を目指す 一定期間同額の投資を続ける「ドルコスト平均法」が有名

投資信託はこれら3つの分散を取り入れた投資です。
またこうした長期分散投資をバックアップしてくれる国の制度が「つみたてNISA」と「iDeCo」です。

【参考】つみたてNISAとiDeCo

つみたてNISAとは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です(2018年1月からスタート)。

つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されており、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています(対象商品についてはこちら)。
金融庁『つみたてNISAの概要』

自分で入る、自分で選ぶ、もうひとつの年金「iDeCo」(イデコ)
○ iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度で、加入は任意です。
○ iDeCoはご自分で申し込み、掛金を拠出し、ご自分で運用方法を選んで掛金を運用します。 掛金とその運用益との合計額を給付として受け取ることができます。
○ iDeCoでは、掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇措置が講じられています。
○ 日本は世界でも有数の長寿国と言われます。現在65歳の方の平均余命は、男性が19.70年、女性が24.50年となっており(「平成30年簡易生命表」厚生労働省)、65歳以降の生活が20年以上続く方がたくさんいらっしゃいます。
○ 「人生100年時代」が到来し、長期化する老後にそなえ、まず、ご自身の公的年金の状況を確認し、さらに、退職金や企業年金も含めて老後の資金を考えてはいかがでしょうか。
○ そして、税制上のメリットを受けながら、より豊かな老後生活を送るための資産形成方法として、もうひとつの年金「iDeCo」への加入を検討してみてはいかがでしょうか。
iDeCo公式サイト『iDeCoってなに?』

おすすめの運用方法2.未来の自分が受け取る~個人年金~

個人年金とは「自分で自分の年金を作る」保険商品で、主に生命保険会社が扱っています。
個人年金も積立投信と同じように毎月積み立てていくタイプと、一定額を一括して前払いするタイプがあります。
流動性(いつでも自由に使える)には欠けるのですが、逆にその特徴が資産形成には向いているとも言えます。

個人年金とは
国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せする形で、個人が自分で加入する年金。
保険の仕組みを使った商品を個人年金保険とよび、生命保険会社が取り扱っている。
老後の生活資金準備のために利用されることが多い。あらかじめ定められた年齢から年金の支払いが開始される。
1.被保険者が死亡するまで受け取れるもの
2.生死にかかわらず一定期間だけ受け取れるもの
3.保証期間終了後でも一定期間内であれば被保険者が死亡するまで受け取れるもの
などがある。
日本銀行/金融広報中央委員会/知るぽると/個人年金とは

おすすめの運用方法3.貯金箱として ~積立預金~

積立預金は投資運用という面より「安全に積み立てて保管する」正確だと言えます。
なぜ投資運用と言い切れないかと言えば、金利が低いからということに尽きます。
参考にゆうちょ銀行の定額貯金の金利は年0.002%で、この金利で毎月1万円を25年積み立てたとしても720円しか増えませんので、運用とはほど遠い現状です。(*)
とはいえ積立預金として半強制的に積み立てることができますし、いざというときは解約すれば現金になるので流動性は高い特徴があります。
「便利な貯金箱」として銀行員はおすすめします。
(*金利は執筆時:2021年10月16日現在 定額貯金は10年満期・半年複利計算であり、計算例とするため25年で計算)

まとめ ~住宅ローン返済と老後資産形成を同時に実現するには、上手に無駄を省きながらスタートは早く~

今回は住宅ローンの返済方法の違いと、ローン返済と並行して老後資産形成をすることの重要性を説明してきました。

ライフスタイルは多様化し、女性も男性も独身で人生を送ることも選択肢のひとつ、今ではなにも特別なことではありません。
1人で生きていくのは衣食住の「住」は単身ということで、決して孤独という意味ではありません。
そして、1人で生きていくなら自分の老後資産は自分で形成する必要があります。

  • ローンを組み始めた段階で、返済と並行して老後資産を積み立てていくべき
  • なぜなら働ける時間は有限だから
  • それなら、なるべく無駄を省きながらスタートは早くしたほうがいい

このポイントが、資産形成の参考になれば幸いです。

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