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【インフレ対策】個人が資産を減らさないための3つの対策

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これまでのおさらい【インフレについて理解が深まります】
軽減税率ってなに?どんなものが対象になるの?消費税増税を前に解説
止まらない値上げラッシュ、隠れ値上げも。今日本に何が起きているの?
物価上昇しても給与は上がらない!今日本人が好景気を実感できないワケ

この先日本はインフレ(物価上昇)が加速し、購買力(商品やサービスを買うことのできる財力)が今より低下することが推測されます。購買力が落ちれば保有している資産も目減りしていきます
老後も今と変わらない生活水準を保ち安心して日々を暮らすためには、インフレ対策について考えておくことが大切です。

そこで今回は、個人レベルで今からできる「インフレ対策」を3つお伝えしたいと思います。

【おさらい】インフレとは

その前に、インフレについておさらいしましょう。インフレとは、物やサービスの値段が上がり、お金の価値が目減りすることを言います。

1000円で買えていたものに1200円かかるという具合に、量も中身もまったく同じ、クオリティーは変わらないのにお金の負担だけが大きくなり、1000円で出来ていたことが1000円で出来なくなります。つまり、1000円に1000円の価値がなくなってしまうのです。

1度上がったものは下がりにくい傾向があり、むしろ時間の経過とともに上がることが多いので、時間を重ねれば重ねるほどお金の価値は下がっていくと考えられます。

「年2%のインフレを目標とする」
ニュースや新聞でたびたび見聞きしますが、こちらもどういうことなのかおさらいしましょう。
政府は安倍前政権の頃(2013年)から日本銀行と連携して、消費者物価の上昇率(インフレ率)を年2%と掲げ、目標の実現に向けた金融政策を行ってきました。
この物価目標は菅政権にも引き継がれています。
基本的には景気が良くなるときにインフレ率が上昇します。
バブル景気がはじけたあと長らく続いた不景気を脱却し物価が安定している状態の目安が、毎年2%くらい物価が上昇する経済状態ということです。

現政権(岸田政権)が目指す「富と分配の好循環」において個人レベルで出来る事についての考察もチェック

資産運用はお金持ちだけのもの?富の不等式「r>g」を知ろう

【対策1】インフレに強い資産をもつ

「預貯金はインフレに弱い」という言葉を聞いたことはないでしょうか?
現在日本の預貯金の金利は、普通預金0.001%、定期預金0.002%(2021年1月時点)なのに対し、インフレ率は0.6%(2019年消費者物価指数)と、物価上昇を上回るほどの金利はつきません。そのため預貯金で資産を増やしても購買力(商品やサービスを買うことのできる財力)は減っていることになります

では、「インフレに強い資産」はどのようなものが考えられるのでしょうか?

株式

インフレリスクに強いとみなされている最も一般的な商品が株式です

企業が事業資金を集めるために発行しているのが株式です。株式は一般的に、企業の業績が改善すると予想されれば株価が値上がりし、業績の悪化が見込まれれば値下がりしやすいとされています物価が上昇すれば企業の売上高は上昇しやすく、業績の改善、株価の上昇が期待できます。このように値上がり益を期待して株式を売買することを株式投資と言います。

ただ、企業によってはインフレによる人件費や原材料費の高騰によって利益が減少する可能性もあることや、株式が企業業績だけでなく金利や為替相場などの影響も受けることを念頭に置いておく必要があるでしょう。

外貨

先述したように日本では金利が低い状態が長い間続いているので、預貯金を利用してもほんの少ししか利息がつきません。一方、海外には日本より金利の高い国があります

たとえばアメリカ。2019年4月時点で、日本の政策金利(長期金利)が0.00%なのに対し、アメリカの政策金利は2.25~2.50%(外務省「主要経済指標」)と、日本の直近の物価上昇率を上回る数値です。こうした国の通貨を外貨預金や外貨建ての生命保険でもっていれば円の預貯金より高い利息が期待できるというわけです。

また、日本でインフレが起こると「円というお金の価値が下がる」ことから、外国為替相場は円安に向かう可能性が高くなります円安になったときのことを考えた場合、資産を円以外の通貨でもっておくことはリスクヘッジとなりえます

もし外貨を安い時(円高ドル安)に買って高い時に売る(円安ドル高)ことができれば、その差額(為替差益)を得ることができます。たとえば「1米ドル=110円」のときに買った米ドルを、「1米ドル=120円」のときに売れば、10円の為替差益が得られます。逆に買ったときよりも安くなったときに売ると、マイナスの差額(為替差損)が生じるので注意しましょう。

投資信託

自分で銘柄を選び、自分で売買のタイミングを決めて注文する株式投資が難しい場合は、プロに運用を託す投資信託もあります。投資信託は投資家から集めたお金を、投資家に代わりファンドマネージャーという専門家が運用します

たとえば、日本株を投資対象とした投資信託では、ファンドマネジャーが日本株の中から今後値上がりが見込めそうな銘柄を厳選して複数の銘柄に投資をします。投資信託の時価である基準価額は毎日上がったり下がったりします。この点は個別の株式への投資と同じになります。

一方、投資信託には多数の銘柄に分散して投資することで、ある銘柄が値下がりしても、別の銘柄の値上がりでカバーすることで、全体として損失を小さくできる可能性があります。これが個別の株式への投資にはないメリットとなります。

【対策2】インフレを考慮したマネープランをつくる

まずは資産の現状を「見える化」しましょう
「老後の資金は2000万必要」という金融庁の報告書が物議を醸し、「2000万じゃ足りない」との声もあがっていますが、資産の現状を「見える化」せず不安に突き動かされるまま闇雲に節約・貯蓄をしていては、老後にたどり着くまでに挫折してしまいかねません

使うときは使って、貯めるときはしっかり貯める。過度な貯蓄にはしることなく“健全な貯蓄”を進めるには自身の資産の現状を整理することが大切です。また、「いつ」「いくら」のお金が必要になるのかを把握することも大切です

資産の現状を把握できたら、マネープランをつくっていきましょう。
【対策1】で取り上げた「インフレに強い資産」は“ただもっているだけ”では活かしきれていません。
インフレに強い資産をどのように運用して増やしていくのか、そしてどれだけ“資産寿命をのばす”(資産の底が尽きないように使い続ける)ことができるのか、マネープランに落とし込んで計画的に保有しましょう。

【対策3】「必要とされる人」であり続ける

ここまで「インフレに強い資産」をご紹介しましたが視点を変えて、資産を形づくるもとである収入を増やすことも考えてみましょう

前回のコラムで「日本は賃金上昇が物価上昇に追い付いていない」「日本の給料は総じて横並びで、上がりにくく、アメリカや中国などの他国に劣る」とお話しました。
こうしたことに危機意識をもつ企業が、時代に合わせて給与制度を変えている事例が『日経ビジネス』で紹介されていました。

たとえば、転職市場での価値を尺度にしているLINE。
社員と同じ仕事を担当し、同じような成果を出せる人が、最近の転職市場でどの程度の処遇を得ているかが基準になっています。
そのほか、各社員の生産量を毎月開示し、給与の変動部分を完全な成果連動型にした金型メーカーや、職場のメンバーで評価しあう査定方法を取り入れた会社などがあります。

このように評価の手法を試行錯誤してきた多くの会社に共通しているのは、何らかの形で透明性を高め、社員の共感を得ようとしていること。従来の「年功型」とは異なる評価の仕組みが採用されつつある中で、自分の能力を磨いていくことがより一層求められる時代になったと言えるのかもしれません

まとめ

軽減税率ってなに?どんなものが対象になるの?消費税増税を前に解説
止まらない値上げラッシュ、隠れ値上げも。今日本に何が起きているの?
物価上昇しても給与は上がらない!今日本人が好景気を実感できないワケ
そして今回のコラムと、複数回にわたってインフレに備えることの必要性をお伝えしてきましたがいかがでしたでしょうか。

「老後2000万円問題」をきっかけに、老後のお金を真剣に考え始めた方も多いでしょうが、ぜひインフレのことも考慮に入れてマネープランを立てていただきたいと思います。

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